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股関節前面部の超音波像

股関節前面部の痛みは臨床において訴えの多い症状です。

 

自分自身、今まであまりエコーで撮像したことがない部分でしたので今回は試しに撮ってみたレベルのお話です。今回の撮像位置、大腿直筋の付着部よりやや近位よりだったため、大腿直筋はこの画像には撮像されておりません。

 

また、今回撮像した下前腸骨棘付近、またもう少し近位側の上前腸骨棘付近は成長期のスポーツ傷害としてよく見られ、大腿直近や大腿筋膜張筋、縫工筋の急激な収縮が原因とされております。

 

ダッシュでは上前腸骨棘付近位に痛みが生じ、サッカーなどのキック動作では下前腸骨棘付近の痛みが生じるいわれております。

 

痛みが生じた付着部にエコーをあててみるとドップラー反応(エコーで見る炎症反応)が確認でき、またレントゲンでは裂離骨折が認めることがあります。

 

このような骨盤裂離骨折が生じた場合、まずはRICE処置を徹底します。

 

(受傷後1週)安静の保持、アイシング(約1週間)を徹底します。

(受傷後2~3週)痛みが改善し歩行時痛も改善した場合に、歩行許可します。原則スポーツは禁止)

(受傷後2~3ヵ月)ランニングを許可はレントゲンでの骨癒合の確認を要します。

 

基本的には保存療法が中心ですが、骨折の癒合が厳しいとなった場合、当初より骨折部の離開が大きい場合とされております。

 

成長期のお子様でサッカーでのキック動作、急なランニングで股関節前面部が痛くなった場合、まずはきちんと整形外科でのレントゲン撮影をお勧めします。

 

ご判断付かない場合は、一度当院にご相談いただければと思います。

 

 

Higuchi