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超音波と解剖

 鍼灸師は患者さまの身体に鍼を打って、神経や筋肉といった身体のバランスを整えていきます。そのために鍼灸学校でツボ(専門的には経穴と言います)の位置を約360穴学びます。

 

学生時代それは当たり前のことで疑問にも思わなかったですが、経穴それぞれに対しての深さの概念を学ぶことはありませんでした。

 

ざっくりいうと患者さま自身がご高齢であったり、虚弱体質の方であれば、極力刺激は少なく。つまり鍼は浅く、経絡の流れに沿って(補法瀉法でいえば補法)。大柄で汗っかきで油ギッシュの方であれば、経絡の流れに逆らい瀉法で刺すように。といった程度の理解でした。

 

これは間違いではないとは思いますが、解剖学的に見て、例えば肩こりの患者さまであれば、凝っている対象がどの筋肉なのか。対象が深部の筋肉であれば、多少虚弱体質の患者様であってもその対象にアプローチする必要があると思います。

 

今までリアルタイムで見ることが難しかった解剖学的な構造が、超音波を使うとしっかり見えてきます。

 

よく聞くのが深く刺鍼するのが怖いから、深く刺すと危険なので浅くしか刺していません。ほんまでっか?

 

とは言え、闇雲に深いだと当然リスクが生じます。

 

以前から何度かブログにも書いておりますが、肩甲骨の間であれば約3㎝で肺に到達する部分があります。ただ、2㎝位のところに菱形筋という非常に凝り感を感じやすい筋があります。

 

肋骨へ針先を当てて刺す方法もありますが、背筋がしっかりしている方は肋骨の触診が困難な場合もあります。そんな時は迷わずエコーを使用します。

 

私はたまたま機会に恵まれ、超音波の見方を学ぶことが出来て、しかも自身の院にまで置くことが出来ました。

 

日々患者さまを治療していく上で、構造に迷ったり、リスクを感じた際は迷わずエコーを使用します。そうしていくと日々情報が蓄積され、新たなアプローチの仕方が思いついてきます。

 

これを自分一人でため込むのではなく、広く共有しながら、より患者さまに満足して頂ける治療を提供していきたいと思います。

 

Higuchi