前回は、どうして末梢神経障害が起こるかについて述べました。
今回は、末梢神経障害に対して、どのように対処して行くのかを考察していきたいと思います。
加齢による末梢神経障害は、根本的な原因が特定しにくく、病態が多岐に渡るため、完全に治すことは難しいとされております。
ただ症状(特にしびれ·痛み·感覚低下)の緩和・進行の遅延・生活の質(QOL)の維持(転倒予防、歩行能力保持など)は可能であり、そこは目指すべきところであると考えます。
まずやるべきこと!
原因の除外やコントロール(進行予防の基盤)であり、
加齢性とする前に、治療可能な原因を取り除く必要があります。
糖尿病、ビタミンB12欠乏、甲状腺機能低下、アルコール多飲、薬剤性など。
これらが関与していれば、生活習慣の是正、血糖コントロールやホルモン療法などで改善が見込めます。
上記の病状も関連せず、純粋に加齢性の場合でも、血管リスク因子(高血圧、高脂血症、喫煙)の管理が微小循環を改善し、進行を遅らせる可能性が高いとされているので、この辺りにも気を付ける必要があります。
次に、症状緩和ということを考えると、
薬物療法の効果による報告が多くあります。
「加齢性」末梢神経障害に対する特異的治療薬は無いですが、
神経障害性疼痛や異常感覚に対して、エビデンスの強い第一選択薬を使用(国際ガイドライン:NICE, AAN, EFNSなどに基づく)することが多いです。
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薬剤クラス |
第一選択例 |
主な適応・効果 |
高齢者での注意点 |
エビデンスレベル |
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Gabapentinoids |
プレガバリン(リリカ)、ガバペンチン |
しびれ・ピリピリ痛に最も有効 |
めまい・眠気・転倒リスク → 低用量から開始 |
高(第一選択) |
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SNRIs |
デュロキセチン(サインバルタ) |
痛み + うつ傾向に有効 |
血圧上昇・吐き気注意 |
高 |
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TCAs |
アミトリプチリン |
夜間痛・睡眠障害に強い |
抗コリン作用強く、高齢者では避けるか低用量 |
中〜高 |
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局所療法 |
リドカインパッチ、カプサイシンクリーム |
局所的な痛みに |
皮膚刺激注意 |
中 |
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私は医師ではないので、実際に処方の流れとして言われているのは、
多くの場合、プレガバリン 75-150mg/日から開始して、
効果不十分ならデュロキセチン併用をしていく、
場合が多いそうです。
最近薬物単独で完全消失は稀ですが、50-70%の患者で中等度以上の改善報告があるとされております。
薬物は効果があるとは言え、人体に無害なものではありませんので、
やはり内服服用に抵抗がある患者さんも多いのが実際です。
上記以上に進行抑制・機能維持に大事で、もっとも推奨された方法として、
運動療法が挙げられます。
やっぱりそれか…
と感じる患者さんは多くいらっしゃると思いますが、
やっぱりそれなんです笑。
以下に幾つかの運動療法を紹介すると、
・週150分以上の有酸素運動(ウォーキング、水中歩行、自転車など)
▶︎血流改善や神経栄養因子(BDNF)増加・酸化ストレス低減の効果がある。
・筋力・バランス訓練
▶︎特に高齢者には有効で、下肢強化(スクワット、かかと上げ)、太極拳やヨガ、は転倒予防効果も大きいとされます。また、定期運動群で感覚閾値改善し歩行速度向上したとの報告もあり。
・栄養・サプリメント
▶︎ビタミンB群(B1、B6、B12)、ビタミンE等、地中海式食事も抗酸化物質豊富で神経保護効果がある。
・物理療法
▶︎鍼治療は、血流改善・痛み軽減の報告が多数あり、また温熱療法(ホットパック、温浴)による、血流促進も効果的とされる。TENS(経皮的電気神経刺激)や低周波治療器による治療は一時的症状の緩和に適している。
・装具·補助具
▶︎足底板(インソール):足底感覚低下時のバランス改善に関与。場合によっては、AFO(足関節装具)も使用し、足垂れがある患者さんはAFOを装着し足関節の安定化を図り、転倒の予防を促する。
・その他)先進的・研究段階の治療(2025-2026年時点)
▶︎幹細胞治療
▶︎部分的リプログラミング、
▶︎神経修復デバイス、
▶︎神経成長因子関連や抗酸化剤新薬、
など、ここでは私自身内容はそこまで把握しておらず列挙のみですが、今後注目されている治療のようです。
以上、諸々述べてきましたが、
ご高齢者における、現実的な改善プランとしては、
1.神経内科/老年科で末梢の痺れの原因精査する。→ 加齢以外の要因を除外。
2.薬物療法を試してみる(プレガバリン or デュロキセチン低用量開始 + 痛み評価)
▶︎内服があまり好まない方はこの限りではありません。
3.毎日30分の散歩 + 下肢筋トレ。
4.鍼や温熱療法、(症状によっては)インソール併用。
上記を施行し、3ヶ月毎位で症状の経過をフォローしていく。
適切な管理で進行を抑え、
日常生活を長く快適に保つ状態を作る。
当院においても、加齢性の末梢神経障害の訴えをされる患者様が増えております。
実際に鍼治療をさせて頂いていて、
末梢部に持続的に刺激を与えられるのは、鍼治療の大きな特徴だと思っております。
痛くない細い鍼を使用し、末梢の神経血管の循環改善を目指した治療を行なっております。
また今年は、当院の院内もしくは、目黒区の近隣の住区センターや区の施設を借りて、末梢神経障害に有効な運動教室をしていきます!
(一応こんな華奢な身なりですが、保健体育科の教員免許を持っております)
近々、案内を出していきたいと思います。
前回、今回と加齢性の末梢神経障害に関して述べてきましたが、
鍼治療にできることは多分にあると感じております。
まだまだ、発展途上な治療ですが、手や足の末梢神経障害(痺れた感じ)で、
お困りの方、ぜひ当院までお問い合わせください。
Higuchi

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